太宰治に愛をこめて

本日6月19日は桜桃忌、太宰治の命日であり、生誕の日でもあります。
桜桃忌という名前は太宰が晩年に書いた短編「桜桃」に由来し、直木賞作家・今官一によって付けられました。

ああこの日に太宰は玉川上水で・・・
ああ今この日には、同じ気持ちで太宰を偲ぶ人が日本中にいるんだろうな・・・

私はそう思っていたんですよ。

なのに!

おやつを配ったnagiさんいわく、
太宰治の桜桃忌がnagi的にはテーマだったんだけど、 ほとんどの人が知らなかったです(^_^;) 

!!!

そういうわけで、本日のおやつブログでは太宰治の「桜桃」をご説明しましょう。
(カッコ内は青空文庫「桜桃」よりの引用です)

穏やかな大家族・・・? 私は父親として、妻や子供たちと穏やかに暮らしていた。
(私の部屋の畳は新しく、机上は整頓せられ、夫婦はいたわり、尊敬し合い、夫は妻を打った事など無いのは無論、出て行け、出て行きます、などの乱暴な口争いした事さえ一度も無かったし、父も母も負けずに子供を可愛がり、子供たちも父母に陽気によくなつく。)

※夫婦ではありません しかしその穏やかさは、夫婦の互いに対する労りと重苦しい努力の上にある。
(しかし、これは外見。母が胸をあけると、涙の谷、父の寝汗も、いよいよひどく、夫婦は互いに相手の苦痛を知っているのだが、それに、さわらないように努めて、父が冗談を言えば、母も笑う。)

お父さん、ショック・・・!危ういバランスを保っていた家庭は、ある晩妻の発した一言によって崩れた。
(それが導火線であった。この夫婦は既に述べたとおり、手荒なことはもちろん、口汚く罵り合った事さえないすこぶるおとなしい一組ではあるが、しかし、それだけまた一触即発の危険におののいているところもあった。)

走れお父さん 家庭も仕事も投げ出し、私は女のいる飲み屋に走る。
(もう、仕事どころではない。自殺の事ばかり考えている。そうして、酒を飲む場所へまっすぐに行く。) 

太宰はこういうおやつ好きだろうか そこで出された桜桃を、私は家族のことを考えながらどうしようもなく、ひとりで食べる。
(私の家では、子供たちに、ぜいたくなものを食べさせない。子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。食べさせたら、よろこぶだろう。父が持って帰ったら、よろこぶだろう。蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚の首飾りのように見えるだろう。  しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、極めてまずそうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。)

・・・・・・そういうわけで(?)本日のおやつはさくらんぼ味のぷっちょ、ピュレグミ、ハイチュウでした。

「桜桃」のシリアスさなど露知らず社内はいつも通り明るく楽しいおやつタイム、おやつはいずれも東北限定で、「お土産みたいでわくわくしますね!」なんて声も。
太宰よりも「今、アメリカでハイチュウが大人気!」という話題で盛り上がっていました・笑