「いきなり団子」

「何かの宗教的儀式なのだろうか?」

不安そうにMを眺める青年。

視線の先には、5色の団子を丸く並べているMの姿。

Mは青年に見られているのも全く気付かず 、いや気付いてはいるのか、時折ため息をつきながらもその作業を黙々と続けている。

紫、茶、赤、緑、白。

丸い皿に団子を並べると、四角い箱へスッといれる。ぼーっ、という低い音が箱の中から聞こえてくる。

その箱をただじっと眺めるM。

おもむろにその箱から皿ごと団子を取り出すと、また違う団子を並べ始める。

紫、茶、赤、緑、白。

そのMの所作には不思議と、いつまでも続くのではないか、と思わせる雰囲気がある。

いったいどのくらいの時間が経ったのだろうか。青年が目をはなすと、Mは両手に軍手をはめていた。

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。。。。

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今日のおやつは、熊本名物「いきなり団子」です。
さつまいもと餡子が、もちもちとした皮につつまれた5色のお団子なのです。

いつもおやつを選ぶときには、味はもちろん、季節感や同じようなものが続かないように等を意識して選んでいるのですが、いつもおやつを配ってくれるM嬢のことも考えてなるべく配りやすいものを、なんてことも気にしていたりします。

それにもかかわらず、先輩のSさんが選んだ今日のおやつはカチンコチンの冷凍で到着。しかも、自然解凍ではなく、レンジで加熱が必用。その「要加熱」との注意書きをみつけ、絶句し顔を見合わせている後輩二人の姿を忘れまい、と私は強く心に誓いました。

でも、そこは流石Mさん。「アツアツの方がおいしいよね!」といやな顔一つせず、黙々と温めた後、軍手をはめてアツアツをお届けすることになったのでした。

軍手です。
軍手をしてます^^;

お団子自体は、茶色は黒糖、緑色はよもぎ、赤色は桜、紫色は紫いも、白色はベーシック。

五色のお団子
こんな感じです。

私は桜を頂きましたが、お芋と餡子がたっぷりと入っていて、素晴らしいボリューム。温かく、もちもちしていて、お味も最高でした!!

それにしても、「みんなのために」とお団子をただひたすらに温めているMさんの姿、涙なくしては語れません。

あぁ、餡子に少し塩味が効いていたのは、本当に桜の葉のせいだったのでしょうか。。。